バイク乗りのライフシフト

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TVモトドライバー(主に集団後方のTV2向け)個人的まとめ[更新日20190703]

今回は少しお固めの記事になります。

はい、

マニアックすぎてチンプンカンプンで、ありえない文字の羅列で、ページ移動してしまう方が99.8%かと思います。

ほんとうにゴメンなさい。

 

でも!

この記事の需要は、わずか0.02%ぐらいの日本人の方には貴重な(自分で言うな)情報なのではないかと勝手に思います。

 

はい、

それを踏まえて、

読んでみたい方はぜひ、どうぞ。

 

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TVモトドライバーは、後ろに乗るカメラマンと、映像を制作する会社と協力してよりよい映像を撮るために仕事をします。
同時に大会運営者、競技主管者と二人三脚の関係で進めます。
この記事は、日本国内でTVモトを運用するドライバー(これから担当になるドライバー)が安全で公平な競技をキープしながらも美しい絵を提供する仕事を成し遂げるために書いた参考資料です。私が国内UCIレースでTVモトドライバーを経験する中で気付いた点も含めてまとめました。修正点他についてご指摘等いただければ幸いです。

※特に位置取りが難しいTV2を中心にまとめました。

 

先ずはじめに

・カメラマンや制作会社とターゲットや撮りたい絵の打ち合わせを明確にしておきます
・ドライバーとカメラマンは円滑なコミュニケーションを取る為にインカムを備えておくとよいです
(有線が理想ですがBluetoothでOK)
(Bluetoothの場合はレース中の電池切れに注意 バッテリーを繋いでおくといいです)

・国内の中継では制作会社からの連絡線がIP無線になっている場合が多いのでイヤホンなどで聞きます

・競技系の無線はTVモトはラジオツール傍受のみ使用可です  発信はできません
・審判団の範疇からTVモトは外れます

・COM1,2,3 誰がどの集団を管理するコミッセールなのかを確認します  チーフコミッセールとはできればレース前に二三挨拶を含めてTVモトの位置取りについて話をしておくとよいです

・レース展開を常に予想して走ります

・コース図を見ながら併走撮影が可能な道路幅を事前に見据えておきます

スマホGoogleマップやモトのナビにコース図を入れておくとよいです

・TVモトで使用するモトはタンデムステップの幅広化、高さが低いトップケースに換装しておくと、カメラマンの撮影自由度が上がるので良いです(このカスタムはお金がかかるので徐々にやっていくのがいいかもしれません)

 

レーススタート〜レースの最中
・スタートは選手のすぐ後ろ、COM1の右前に位置します

・TVモト2の定位置はCOM1の右前です(その国の反対走行車線がその位置です) COMカーの作るスクリーンには入っているものの、やむを得ない場合を除いてはCOMカーの目の前に入らない位置取りをしましょう
・号砲後、パレード区間の様子をプロトン後ろから撮影
・リアルスタート後はラジオツールをよく聞き、逃げが出ているかどうかをチェックします
・ドライバーも後ろから見える範囲でプロトン前方の状況を把握します

・逃げが形成され、30秒ほどになってきたら(タイムギャップが広がってきている様子があれば)、プロトン前方に移動する準備に入ります

・ホーンをピッピッピッとリズムよく鳴らし選手に注意喚起をして、無理をせず前方まで出る 自分の走路を確保出来ず、前をこじ開けられないようならば、とどまることも忘れずに  ホーンを嫌がる選手もいます

・選手との速度差は10km以下がよいです  一気に抜く必要はありません  選手を抜いていく際にカメラマンが撮影している場合もあります カメラマンとコミュニケーションを取って走ります

・走路を確保できず全包囲を選手に囲まれる、という状況もあります 驚かず冷静に速度を変えず選手と一緒に走って次の走路確保を待ちましょう

・TVモトは決してレース中はカメラマンを降ろした状態で車列、プロトンを抜かないようにしましょう
・後ろ向きで座って撮影はしないようにしましょう(特にUCIレースでは禁止事項となっていますので)

プロトンが逃げを容認している場合は1例棒状であっても近くに寄って撮影できますが、展開次第ですのでレース状況をよく見て撮影してください

プロトン前方で撮影中にアタックがかかって選手がTVモトの後ろに迫ってきたら前には逃げないようにしましょう ただし、後ろに逃げられる隙間がある場合、 集団からブリッジかかっていなく、逃げを容認した場合のみです レース状況をよく見て撮影しましょう

・アクセル開度は一定 撮影中アクセルを動かす時はミリ単位で  アクセルやブレーキ操作によるモトの細かい前後移動(ヘルメットが前後に動いてしまうモトの動き) やマンホールや道路の段差による突き上げは撮影中のカメラのブレの原因になるので走路は選んで走りましょう
平らなラインを常に選ぶこと  スムースな運転が望ましいです

・逃げとプロトンの間がせまってきている状況を常に気を使います 30秒だから大丈夫、ではなく、45,40,30秒となってきていればタイム差が縮まって来ていると判断して、プロトンの後ろに下がる用意をしましょう
・右側に停車してプロトンを見送り、ふたたびプロトン後方からの撮影に戻ります その際に停車する場所がない場合はゆっくりと右ウインカーあげて後ろに下がります これも速度差わずかで下がりましょう

・レース中やむを得ず停車する場所は、なるべく右側がよいです  なぜなら車列に復帰する場合、左側に停車するとCOMカーやチームカーの車両の隙間が少なく、復帰しにくいです  そして 自分がその隙間に入ったことによって他の車両にブレーキを踏ませてしまう恐れがあります

プロトン後方では手を挙げた選手(チームカーと話をする、補給、脱いだウエアを渡す、メカトラ、落車による怪我の治療など)が下がってくることがあります
チームカーやドクターカーがCOM1の前に上がってくる
ラジオツールをよく聞いておくと状況がより理解出来ます
チームカーが上がってきたら選手を下げてあげてプロトンの後ろギリギリまで上がります  チームカーと選手を近付けさせてあげること  TVモトが彼等の邪魔にならないようにしましょう

・併走撮影はウインカーを挙げて速度差がついていることをコミッセールにアピールしましょう

・横風が吹いている時は風上に位置して併走しないようにしましょう
風下ならば良いかといえば、風を受けてコースぎりぎりに選手は寄って走るので撮影する走路が奪われて危険になります  風が吹いているときはなるべ併走を避けるのがよいでしょう

・チームカーからの補給シーンや監督と選手の会話のシーンは映像的には重要なのでそのやりとり撮影ができる位置取りをしましょう
・BBモトが選手に見せているボードを邪魔しないようにしましょう  同時にBBモトとはスタート前にコミュニケーションを取ってどちら側から見せるのか、TVモトはどちら側がいると都合が良いのかを確認しておくとよいです

 

 

登坂では(KOM手前)
プロトンから遅れていく選手が出てきます
COM1はプロトンに付いて前に上がりたい事があるので
TV2はCOM1が前に上がりたいのを把握して先に前に上がります  遅れた選手がプロトン復帰できないようなら状況を見て早めに上がる あくまでもプロトンについていくようにしましょう
例外としては、注目選手が遅れた場合、そこについていくこともある 事前にカメラマンや制作会社とのコミュニケーションを取っておくと良いです
COM1より後ろにはなるべく下がらないように位置をキープしましょう

 

登坂後では(KOM後)
後ろからプロトンに戻りたい選手がいるので後方に最大の注意を払いましょう
ミラーでよく確認します

TVモトの後ろに選手が着いた場合は右ウインカーをあげて、着かれていない、後ろはしっかりと見ている、ということをCOMカーにアピールしましょう

 

レース終盤〜ゴール

ゴールが近づいてきたら、COM1の位置を見ながら判断します  デビエーション手前ではCOM1の後ろに位置し、デビエーションへ入ります
基本的にはゴール間近はTV1とゴール付近の固定カメラ映像が主になるので、TV2は待機と考えます (例えばゴール手前で起きた落車の撮影などにそなえる)

例外を除いてはTVモトはフィニッシュラインを超えることはできません  かならずデビエーションに入りましょう (どうしてもフィニッシュラインをきる必要がある場合はチーフコミッセールとレース前にお話しして、解決しておきましょう)

 

重要な数字

⬇下記のUCI資料に明記されています

選手の前15〜20mをキープ 10車進は開けましょう
選手の斜め45° 選手との走行ラインを外します
選手の2m以内は近づかないようにましょう

 


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世界的に活躍しているTVモトドライバーのオランダ人のウィリーさん 

※資料

YouTube モトが選手に与える影響
https://youtu.be/5Fi_8WJgRSc


YouTube ジロ・デ・イタリアTVモト TTの走り方等
https://youtu.be/8IBJ8R6zzzM
https://youtu.be/NyqgYxYThVA

 

UCI 参考資料
TVプロダクションガイド
レースコンボイの為のガイドライン
https://www.uci.org/inside-uci/publications

 

(尚、この記事を書く際に、国際コミッセール藤森さんの[プレスモト ドライバー注意事項PDF]を参考にさせて頂きました。ありがとうございました。)